Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
二
「――雪乃どの、蕗どの。ここでお会いくださると仰せられます。おすすみなさい」
そう告げて、左右のふすまを開くと、彼は身を端へ退けた。
雪乃とお蕗の母子は、畳のなかへ沈み入るばかり、両手をつかえていた。
そこの一部屋には、何もなかった。粗壁とひとつの切窓があるだけだった。
それだけに、母子のすがたは、鮮やかに、浮いて見えた。佗びた茶室のなかに、ふたつの仁清の茶碗でも置いてあるようだった。
老公の眼は、ややしばらく、母子のすがたにそそがれていた。どんな思いをなされているだろうか――とまでは考えても、居あわせた人々の若さでは、窺い知ることもできなかった。
「……やれ、久しいのう。さあ入れ。ふたりとも、もそっと寄るがよい」
やがて、老公からの、ことばであった。
二
ゆるされて、母とむすめは、近々と、老公のまえへ来て坐った。
手ずから杯を与えて、
「幾つになったか」
と、年をたずねた。雪乃は、羞恥ましげに、
「ご隠居さまよりも、七歳下でございましたから、いまもたしか、七歳下でございましょう」
と、ほほ笑んで答えた。
「七歳ちがいであったかなあ」
と、追憶のひとみを、ふと恍惚とさせて、