Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
三
「ウム、有名な、果心居士のお弟子であったか。なるほど、それならものの聞きわけもよいはずだ。……ではおまえに一つのたのみがあるが」
「はい、命をたすけられたご恩人」
「なんでも聞いてくれるというのか」
「できることならきっとききます」
「ほかではないが、おまえと一しょに、湖水におぼれていた蛾次郎な」
「ああ、あの蛾次郎がどうかしましたか」
「どうも、ひどく仲が悪そうだが、なんとかわしの顔にめんじて、これからさき、仲をよくしてくれないか」
「…………」
竹童はだまって下を向いてしまった。
「でないと、ふたりをこの御堂からだしてやることができない。せっかくわしが助けてあげても、この塔をでるとたんに、檻をでた犬と猿のように、また血まみれになったり、取ッ組んだりされては、わしの親切がかえって仇になってしまう。それがゆえに、罪のようだが、ふたりを別々な口へいれて、錠までおろしているのだよ、これもひとつの情けのかぎだ。悪く思ってくれてはこまる」
宮内のあたたかい真心が、じゅんじゅんと胸にひたってくるので、竹童も思わず涙ぐましくさえなった。
だが、そればかりは、竹童にも、ハイとすなおに快諾されなかった。