Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
二
小屏風のかげに、銀の照らしをつけた切燈台が、豆ほどな灯明りを立てていた。それで見ると少年は、まだほんの十三、四歳、それでいて礼儀ことばはまことに正しく、裃にみじかい刀を二本差しているすがたは、夢の国からきた使者のようである。
両手をついて、
「申しおくれました。わたくしは遠江浜松にご在城の、徳川家康さまのおん内でお小姓とんぼ組のひとり、万千代づきの星川余一というものでござります」
「えッ、家康さまの家来?」
「はい」
やはり敵方の片割れであった。うかつなことをさきに口へもらさなくてよかったと、咲耶子は心のうちで思うのだった。
「余一とやら、それはうそでありましょう。お小姓とんぼ組のひとりとはいつわりにちがいありませぬ」
「なぜでございますか。わたくしは、万千代さまの組の小姓にちがいないのですのに」
小さな余一は躍起となって、年上の咲耶子がたくみにかけたことばの綾にのせられていった。
「では、そのお小姓組のおまえが、どうしてこんな屋根上から、おやかたのなかへはいろうとしますか」
「じつはわたくしは、鷲の背なかに乗ってきたのでございます……」
「オオ、ではいま、空から真っさかさまに降りてきたあの怪鳥にのって……?」