Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lesen Sie 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 511.765 Zeichen · 1011 Bildschirme
「はい、浜松城をでてまいりましたのは宵でしたが、とちゅう空でおそろしい霧にまかれ、やッといまごろここに着きましたが、ここへくると、またどこかで狛笛の音がしていたせいか、ご門のほうへは降りてゆかず、とうとうこの源氏閣の屋根の上へ、翼をやすめてしまいました」
「そして、その鷲はどうしましたか」
「閣上の擬宝珠柱に結いつけておきました」
「あの鷲は、いぜん、わたしもよそで見たことがありますが、どうしておまえのものになっているのか、わたしは、ふしぎでならない気がする」
「さればです――」
と余一は袴の両膝に手をあらため、小ざかしげな眼をパチッとさせて、
「あの金瞳の黒鷲ともうしますものは、今年の春のくれつ方、三方ヶ原で万千代さまが、にせものの独楽まわしにとられたものでござります。で、浜松のお城でも、万千代さまのおのぞみぞと、その後、諸処ほうぼうへ足軽をかけらせ、鷲のゆくえをさがさせておりましたが、トンとすがたが見つかりません。しかるところ、さきごろ裾野の猟人が、この黒鷲が落ちたところを生け捕りましたとおとどけにおよんだので、見ると、どこでやられたのか、股と左のつばさの脇に、二ヵ所の鉄砲傷をうけております。