Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
黒い洋服を着た、背の高い、頭の毛のモジャモジャになった人物です。そのふしぎな人は、ゆうぜんと部屋の中へ、はいって来ました。ああ、これはどうしたというのでしょう。その人は、まぎれもない、名探偵明智小五郎だったではありませんか。
魔法博士はギョッとして、もう一度、鏡の中を見ました。鏡の向こうのベッドの上には、たしかに明智の姿が見えます。しかし、おなじ明智が、もうひとり、正面のドアからはいって来たのです。名探偵のからだが二つになったのでしょうか。それとも、どちらかが、明智の幽霊なのでしょうか。
博士が、あっけにとられたように、明智の姿を見つめていますと、さらに、おどろくべきものが、目にはいってきました。明智の幽霊のうしろに、一ぴきの猛虎がノッソリと、つきしたがっていたのです。
明智はその虎の首に手をかけて、ゆっくりとした足どりで、博士の大デスクのほうへ近づいて来ます。博士には、それが、とほうもない、まぼろしのように感じられました。つかもうとすれば、スーッと消えてしまう、幻影ではないかと、思われました。
すべてが、夢のようにふしぎなことばかりです。鏡の中と、いま目の前にいる人物と、明智がふたりになったばかりか、おそろしい人くい虎が、見知らぬ明智に飛びかかろうともせず、まるで、けらいのように、つきしたがっている