Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
しばふの上に、じつにふしぎなことが、おこっていたからです。
島田君はスケートがすきで、ローラー・スケートの道具を持っていました。しばらく使わないで、お座敷の縁の下においてあったのですが、いま見ると、そのローラー・スケートがしばふのまんなかに、ならんでいるのです。いや、そればかりではありません。それが、ひとりで動いているのです。ちょうど人間が足にはめているように、たがいちがいに、すすんでいくのです。
島田君は夢でも見ているのではないかと思いました。しかし、夢ではありません。学校から帰ってから、今までのことを、すっかりおぼえています。ねむったはずはありません。
「アッ、そうだ。ひょっとしたら……。」
島田君はゾーッと、せなかに水をかけられたような気がしました。透明怪人のことを思いだしたからです。あいつが、ローラー・スケートをはいてあるいていたら、ちょうどこんなふうに見えるだろうと、気づいたからです。
しばふの上ですから、スケート場のようには、すべりませんが、それでも、だんだん座敷のえんがわから遠ざかって、築山のすそにしげっている、八つ手の木のほうへ、近づいていきます。