Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とらのきば

虎の牙/透明怪人

江戸川 乱歩

Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme

Aozora Bunko

顔は横むきになっていて、モジャモジャのかみの毛、目のくぼみ、高い鼻、その下にひらいているくちびるなどが、実物の倍の大きさで、まざまざと、うつっています。なんだかボンヤリした、うすい影ですが、かたちだけはハッキリわかるのです。

島田君は、おそろしさに、息もとまるほどでした。心臓がドキンドキンとおどっているのが、よくわかります。声をだすことさえできません。何かの魔力にひきつけられたように、じっとその影を見つめているばかりです。

「エヘヘヘヘヘ……。」

ゾーッと身もすくむような声でした。影が笑ったのです。大きな影の口が、耳までさけるように、ひらいて、パクパクしながら、ひくい声で笑っているのです。

島田君はもうがまんができませんでした。腹のそこから、怒りがこみあげてきました。死にものぐるいの勇気がでたのです。パッと、ふとんの上におきあがって、

「だれだッ。」

と、どなりました。それから、ひととびに、窓のところへ、かけつけて、いきなり、ガラス障子をひらきました。その男と顔をあわせることを、かくごしていたのです。目と目を見あわせることを、かくごしていたのです。そして、ありったけの声をふりしぼって、しかりつけてやるつもりでした。