Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
そして、ダイヤルをまわし、かぎを入れて、とびらをひらいたのです。
ひらいて、一目、なかをのぞいたかと思うと、島田さんは、「アッ。」と言ったまま、ぼう立ちになってしまいました。
「どうしたんです。」
係長と記者とが、そのそばへ、かけよりました。
「アッ、真珠塔がない。」
島田少年が、おとうさんにすがりついて、さけびました。金庫の中は、からっぽのガラス箱が、のこっているばかりでした。すると、そのとき、
「エヘヘヘ……。」あのいやな、いやな笑い声が、どこからともなく、聞こえてきたではありませんか。むろん地下室の中です。どこかに、あいつがいるのです。
四人は、気でもちがったように、キョロキョロと、あたりを見まわしました。しかし、どこにも、人の影さえありません。
「わかった。あいつは、いま、島田さんが金庫をあけたとき、わきから手を入れてぬすんだのだ。ぼくには、ボーっと白い人のすがたが見えた。」
黒川記者が、ものぐるわしく、さけびました。しかし、そうだとすれば、怪人は見えなくても、ぬすんだ真珠塔は、部屋のどこかに、ただよっているはずです。ところが、いくら目をこらしても、それらしいものは、イスの下にも、金庫のかげにも空中にも、どこにも見あたらないではありませんか。