Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
「まだ、おくがあるんだね。行ってみよう。」
中村係長が、先に立って、そこへ、はいってゆきました。ガランとした、くらやみの中に、しめっぽい、いやな空気が、ただよっています。まるで地獄のように、いんきな場所です。
人々の手にする懐中電灯の光が、いりみだれて、その光の中にはいった人の影が、かべや天井に、大入道のようにうつり、それが、いくつも、かさなりあい、ゆれうごくありさまは、なんとも言えないぶきみさでした。
「アッ、だれだ。いま、ぼくのそばを、通ったのは、だれだッ。」
小林君のかんだかい声が、きこえました。
「だれも通りゃしない。みんな前にすすんでいるのだ。むこうから、来るものなんか、ありゃしないよ。」
黒川記者の声です。
「でも、たしかに、だれかが、ぼくのからだにさわりました。すれちがって、うしろへ行ったような気がするんです。」
小林君は、ほんとうに、そう感じたのです。何か、やわらかいものが、肩と腕にさわって、スーッと、うしろのほうへ行ったのです。
「アッ、いま、ぼくのそばを通った。たしかに人間だ。しかし、目には見えない。」
警官のひとりが、さけびました。