Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
すると、そのとき、鉄ごうしの中から、
「だれだッ。アッ、何をするんだッ。」
と言う、大友少年のさけび声が、聞こえました。いま、はいった透明怪人が、大友君をどうかしているのです。
「大友君、どうしたんだ。そこに、だれがいるんだ。」
中村係長が、大声でどなりました。そして、三人の警官の懐中電灯が、鉄ごうしの中を、あちこちと、照らしました。しかし、何も見えません。そこは、まったくのからっぽなのです。そのからっぽのところから、「ハッ、ハッ。」と言う、苦しそうな人間の息づかいが聞こえてきます。ひとりではなく、ふたりのちがった、息づかいが、かさなりあって、聞こえるのです。
「大友君、へんじをしたまえ、どうしたんだ。何がおこったんだ。」
係長がもう一度、どなりました。
「大友君!」「大友君!」
小林君とふたりの少年も、声をかぎりに、さけびました。
しかし、二つの息づかいは、ますます、はげしくなるばかりです。大友少年と、もうひとりの透明人間とが息をきらして、とっくみあっているようです。二ひきの大きなクラゲが、やみのなかで、もつれあっているのです。
そのとき、大友君の苦しそうな、しわがれ声が、きこえてきました。