Japanische Klassiker mit Furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 193.761 Zeichen · 388 Bildschirme
刑事とその人形のようなものは、二十メートルほどへだてて、しばらくにらみあいをつづけていました。じっと見ていると、それは人形ではなくて、生きた人間、赤と白のだんだらぞめの道化服を着た人間であることが、わかってきました。
「アッ、あいつだ。きょうの夕がた、公衆電話の中で消えうせたという、あの道化師にちがいない。」
刑事は、とっさに、それをさとると、いきなり道化師にむかって、飛びかかっていきましたが、道化師のほうでも、そのときはもう、いちもくさんに、かけだしていました。ばかに足の早いやつです。
刑事は走りながら、呼びこをとりだして、ピリピリ……と吹きならしました。裏庭にいたもうひとりの刑事がそれをきいて、飛びだしてきましたが、さきの刑事とのあいだは、もう五十メートルもへだたっています。とてもおっつけるものではありません。
さきの刑事は、また逃がしてしまうのかと、ざんねんでたまりません。歯をくいしばって、死にものぐるいのスピードをだしました。しかし、あいてはそれよりも早く走るのです。そうして、町かどを三つほど通りすぎたときです。走っていた道化師が、何を思ったのか、ピッタリ立ちどまってしまいました。