Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
しかし、こういうことは二度とあるわけのものでもなし、おれとしてベストをつくすことにしたわけだ」
母の体の調子がわるくて、上陸することのできなかったナポリの港で、停泊している船のデッキから夜のナポリの街の美しい灯のきらめきを眺めながら、父が涙をこぼしていた、という小枝の話は、それをきいたとき、伸子の心をかきみだした。そのような父の感傷の動機も、今夜の話で、思いやられるところがあった。父はこんどの旅行で、どんなに多計代を主にして行動する決心でいるか、そのためにどれほど自分の自由をためているか。それにくらべればよそよそしさのある心でいる自分を伸子はすまなく感じた。
でも、それほどの泰造の心づくしは、それなり多計代にそっくり通じているのだろうか。和一郎が、納得していないというのだろうか。泰造の頭をマッサージしている伸子の手先が思わずとまった。
「お父様、そのお気持を和一郎さんたちに、ちゃんとお話になったことがあるの?」
泰造は咳ばらいした。
「――和一郎にだって、十分わかっているはずだ」
しかし、それは確信のない答えかただった。
伸子は、またマッサージをつづけた。