Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

十一

それは一つの銃口であった。ヴェルダンの霜枯れそめたいら草のかげにすっかり埋められた口金のところだけを金色の小さい指環のように見せていて、あるおそい午後の西日に光り、思わず片膝をついてそこに指先をふれた伸子に、生きたい、とささやいて告げた銃口だった。

ソヴェトのそとの国から、伸子の心と体とのなかに刻まれて来たそれらの印象は、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)にメーデーのよろこばしい準備がすすむにつれて、伸子の精神を奇妙なかわきにおいた。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)のなかにだけ生活し、ソヴェトの状態の中で明日を展望して生きている人たちが知っていないよその国の人々の苦しく生きている眼つき、馳けてゆく労働者の背広の後姿、イーストエンドの公園じゅうに漂っていた不潔でしめっぽい変な臭いなどが、伸子の方から、その眼つきそのもので、その体つきそのもので、ある生活の臭いを甦らせながら、そのはげしいコントラストをたえがたいまで訴えるのだった。

さあこれがモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)のメーデーよ。よく見なさい。ああ、ここにモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)のメーデーがあるんです。