Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

九

そして、伸子自身にも、その暖く乾いた淋しさにそれほど苦しみながら、なぜ一日一日を耐えて見ようとして暮しているのか、わかってはいなかった。伸子は、素子が、一ヵ月前払いしているということに呪文をかけられていた。その期限が来るまでは、としらずしらず身動きを失っていて、しかもその状態を自分で心づいていないのだった。

九

その年の十二月三十一日の晩、伸子と素子とは大使館の年越しに招かれた。漁業関係の民間の人々などもよばれていて、伸子ははじめてその夜の客たちにまじって麻雀をした。伸子のわきに椅子をもって来てルールや手を教えてくれる財務官の指導で、伸子はゲームに優勝した。

「これだから、素人はこわいというのさ」

いつもきまった顔ぶれで麻雀をしているらしい大使館の人たちが、勝ったことにびっくりしている伸子をからかって笑った。

「佐々さん、白ばっくれるなんて罪なことだけはしないで下さいね」

「わたし、ほんとに今夜はじめてなのに――。ねえ」

伸子が上気した顔をふりむけて念をおすのを、素子はわざと、

「わたしはそんなこと知らないよ」

とはぐらかしてタバコをふかした。その夜中に、伸子たちは珍しい日本風の握り鮨をたべた。