Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
二
二
素子の下宿の部屋が、かわっていた。
モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)じゅうの並木の若芽がまだ尖がった緑の点々だった頃、伸子が旅立ちの仕度に、灰色アンゴラのカラーを自分で合外套の襟に縫いつけていたのは、ルケアーノフのクワルティーラの裏側の部屋だった。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)大学病院を退院して、伸子は、たった一つの窓の幅だけに細長くつくられているその素子の部屋へ帰って来た。一つきりの窓は建物の内庭に面していた。素子と伸子とが同時にそこで動くということは不可能なほどせまくるしかった。
同じクワルティーラの中で、こんど素子が移った部屋は、ほんものの一室だった。アストージェンカの広場に向ってたっぷり開いた二つの窓をもち、清潔に磨かれている床に二つの単純なベッド、一つの衣裳箪笥、素子用のデスクと本箱、食事用の小テーブル一つが、おかれている。
ステーションで、迎えに来ていた素子と抱きあって、伸子が、
「どうしていた?」
ときいたとき、素子は、
「――まあ、かえって御覧」
と云った。
「こんどは、いい部屋だよ、ひろいよ」
ルケアーノフの上の娘に許婚者ができて、彼女たちだけの室がいるようになった。