Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

十一

階段のところに、やっと白みかかったばかりの初冬のつめたい光が漂っている。伸子は足音を立てないように階段をおりて食堂へはいり、そこを通りぬけて更に台所へ出た。ゆうべ、きちんと後片づけされたまま、けさはまだ誰にも触れられていない台所道具は、煉瓦じきの床の一方にどっしりとすわっている料理用炉だの、並んでぶら下って、磨かれたアルミニュームの光を放っている大小の鍋類だの、ひっそり人気ない中で、不思議に生きものめいた感じだった。鍵穴をのぞいて台所口のドアをあけている伸子のうしろから、それらの台所の生きものが無言で見はっているようで、外の踏石へのったとき、伸子はやっとほっとした。そして、いつの間にかかくれんぼでもしているように、われ知らず緊張していた自分に、声を立てないひとり笑いをした。

おかしいこと! けさ、みんなが起きないうちに家を出て、伸子がヴェルダン見物に行くということは、ベルネ一家にゆうべから告げられていることだった。ベルネのおばあさんが、昨夜ねる前に、自慢半分、よく整頓されている台所へ伸子をつれて行って裏口の錠のあけかたを教えた。一つの秘密もないしわざだけれども、人々がそれぞれの部屋で寝しずまっている家の中で、いくつものドアをそっとあけたてしたり、静かに一人で出てゆくそのことが、どこかの部屋では誰かが目を