Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
九
珍しさはあるとしても。また漠然とした親愛感はあるにしろ。――無視されている、ということと、自分を卑屈の徒党のなかにおく、ということとははっきり別なことではないだろうか。――
苅りあげて、せいせいと白いうなじを電燈の光の下にさらしながら、伸子はいつまでもいたずらがきをつづけた。
九
モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の街に深い霧がおりた翌日の十一時ごろ、郵便を入れにホテルから出かけた伸子は、トゥウェルスカヤ通りを行き来する馬という馬に、氷のひげが生えているのにおどろいた。ちっとも風のない冬空から太陽はキラキラ雪の往来にそそいで馬の氷のひげやたてがみをきらめかしている。氷柱をつけて歩いているのは馬ばかりではなかった。通行人の男の短い髭もパリッと白くなっているし、厚外套の襟を高くして防寒靴を運んでいる女の頬にかかる髪の毛も、金髪や栗毛の房をほそい氷の糸で真白くつつまれている。
並木道へはいって行って、伸子は氷華の森のふところ深く迷いこんだ思いがした。きのうまでは、ただ裸の黒い枝々に凍った雪をつけていた並木道の菩提樹が、けさ見れば、細かい枝々のさきにまで繊細な氷華を咲かせている。