Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
八
閑散な店内で行儀よい売子たちは、ふらりと入って来た伸子のベレーをかぶった身なりと、そのあとについている蜂谷良作の服装を見て、格別、彼女たちの立っている場所から近づいて来ようともしない。
「てきめんなものねえ」
店を出て伸子はむしろ感歎するようだった。
「ここでみごとな靴を買ってどこにも苦労の無さそうだった奥さんたち、いまごろアメリカでどうしているんでしょうね……」
マロニエの青葉かげの濃いころ、昼飯後のブルヴァールと云えば色彩的で、パリの午後をぶらつく各国からの安逸な人々によってかもし出される雰囲気に溢れていたものだった。きょう伸子と蜂谷良作とが、観察的にあたりを眺めながら歩いてゆくブルヴァールには、晩秋という季節のしずけさばかりでない沈静がただよっていた。歩道の人通りもぐっとへってはいるが、それより、伸子をおどろかしたのはブルヴァールに向っている有名なカフェーのテラスが、ほとんどがらあきなことだった。いつも空席が見つけにくいほど立てこんでいて、腕にナプキンをかけたギャルソンが軽快に陽気にその間をとびまわっていたオペラの角のカフェー・ド・ラ・ペイにしろ、ずっとはなれてエトワールに近いクポールにしろ、往来を眺めて椅子にかけているような人は、ほんの数えるしかなかった。