Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

第二章

一

伸子の酔いかたは素子とちがって、ちっとも嘔気はなく、ただ頭が金のたがでしめつけられるようになって、段々夢中になって行った。こわばって、きしんで、動かなくなったように感じられる眼玉で、伸子は、濃い霧のきれめから憂鬱な藍色に波だっているドーヴァ海峡の水の色を眺めた。

イギリスの上空にはいったとたん、飛行機の下に見える草木の色が変った。フランスの、うすい灰色や真珠色とまじって軽快に爽やかな自然の緑は、イギリスの重厚に黒ずんだ緑にかわった。それはイギリスの風景画の基調だった。時間を倹約するつもりもあって伸子と素子とは、飛行機でロンドンへ向ったのだったが、午後おそく佐々の一行がとまっているケンシントン街のホテルへたどりついたときの二人は、帳場から電話をしたきり、挨拶にゆく力もなくて、晩餐の時刻まで寝こんでしまった。

素子は、ほんとにロンドンに三日いただけで、パリ、ベルリンを通過してモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ帰った。伸子が佐々の家族にかこまれているということで、日ごろ伸子についてもっている関心から素子は自由になったというわけだったろうか。ロンドンへ行けば、素子の気分もかわるかもしれないと思った伸子の想像は、あたらなかった。