Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
十七
伸子は、三四間さきの、枯れた草道の上を見たまま歩きつづけた。
「もう決して、あんな陳腐な思いちがいなんかしない。こんどこそ、よくわかった。伸子さん、許してくれるでしょう」
たやすく口のきけないのは、伸子も自分がわるかったと考えているからであった。きのうは、あれから帰って来て、伸子も起きていられなかった。体の下で揺れているような寝床の中で、伸子は自分への思いがけなさを鎮めかねた。どうしようとして伸子は、蜂谷の寝台のかけものの間へはいったろう。自分に、はっきり思い出されるのは、枕の上にある蜂谷の顔を見まもっているうちに、伸子の気持をやさしく、やさしくみたした不思議な明るさ、透明の感じだけだった。それは愛のこころもちに似ていた。伸子は、これまで一度も彼に対して、あれほど自分を忘れた状態になったことはない。
蜂谷は、伸子の動作の意味をとりちがえた。それは二人にとって、ばつのわるいことだった。けれども、伸子は、このことではむしろ自分がわるいと認めることができた。男であり、考えかたや感じかたの大部分が常識的である蜂谷に、伸子があのときそうであったような状態――全身一つの光ったものになって、肉体が昇華されてしまっているようなあんな状態が、かんちがえされたのは無理もない。