Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

五

「だって、あなた、この暑さに――手袋なんて」

小規模な上に、設備の不十分なホテル暮しで、じき七月十四日のパリ祭をむかえようとする都会の暑気を多計代は凌ぎがたく感じはじめているのだった。

「こっちの習慣で、夏でも正式の訪問には、手袋をもっていることになっているんですよ」

「おやおや。はめるためじゃなくて、持っているための手袋なんて――暑いのに御苦労さまだこと」

多計代は、そういうパリの習慣をおかしがるように、また、年をとっても外国の習慣には従順であろうとしている泰造を、おしゃれだと思っている眼で、娘をみて笑った。

「丁度伸ちゃんが来たから、一緒に行ってお買いになったらいいじゃありませんか」

そのとき和一郎も小枝も外出してしまっていた。それでも多計代が、伸子に出かけていい、というのは、気分のいい証拠だった。

「じゃ、そうしよう。じき伸子はかえしますからね」

男子の正式な訪問用手袋などというものを、どこで買っていいのか、伸子も知ってはいないのだった。ちゃんとした百貨店で、ちゃんとしたものを買えばいいのだろう。そう思って、伸子は売子の一人は必ず英語のわかるトロア・カルチエへ泰造と行った。