Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
七
ベルリンについたあくる日、伸子たちのとまっているパンシオンから近いプラーゲル広場のカフェーで、中館公一郎にあったとき比田のことをきくと、
「あのひとは、いま旅行じゃないんですか」
あっさりしすぎた口調が、何かを伸子に感じさせるように中館公一郎は答えた。
「ジェネ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)かどっちかじゃないんですか。そんなような話だったですよ」
川瀬勇にたずねたときも、伸子は似たような返事をうけとった。
「ああ、彼は旅行中だよ、スウィスだ」
その云いかたは、比田の行くさきについて伸子にそれ以上しつこく訊かせない調子があった。おぼろげながら伸子は理解したのだった。要するに、比田礼二はジェネ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)であろうと、ずっと東のどこかの都市であろうと、彼にとって行かなければならないところへ行っているのだ、と。そして、それについて何もきく必要はないのだし、きくべきではないのだ、と。伸子はそういうところに、ベルリンという土地にいて世界をひろく生きようとしている日本の人たちの暮しぶりがあることを知ったのだった。
美術学校の建築科にいたころから俊才と云われた川瀬勇は、ベルリンのどこかの街にもう三年近く住んで舞台装置や演出の研究をつづけていた。