Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

つや子はバスでひとめぐりしている一時間半ばかりの間、ひとことも物を云わなかった。街にあふれ出ている陰惨におどろき、むき出しの荒々しい生存からうける感銘が、つや子の少女の額に刻まれた。伸子はせめてつや子の心へのおくりものとして、このロンドンでの一晩の見物を計画したのだった。伸子は、不自由なく親と外国旅行をしているようには見えても、真実にはいじらしい立場にいるつや子が生活というものについて理解をもち、自分の生活を自分でまかなってゆく必要を知るようにと、伸子はねがっているのだった。つや子は女の子だから。そして、末娘だから。自分の力で女が生きにくい日本の社会であり、家族の制度であるだけに、伸子は年下の妹の将来に、女としての実力がゆたかであるように、と願わずにいられないのだった。

ロンドンでの三度目の日曜日のことだった。伸子は泰造とつれだってケンシントン・ガーデンの奥の草原を散歩していた。昼寝をしかけていた多計代とつや子とには、四時すぎに、喫茶店で落合う約束で、父娘二人は、のんびり樫の大木の間をぶらついた。いつもそのあたりは人気が少くて、伸子たちから見えるところに、一人の銀髪の老人が、指環のはまった手をのばして、栗鼠に南京豆をやっていた。