Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
伸子が、新聞をよめるようになりたいと云ったら、日本の植民地政策は成功しているのに、フランスはモロッコでもアルジェリーでも失敗つづきだ、と云ったマダム・ラゴンデール。彼女と、果して、稽古がつづけて行けるだろうか。
考えこみながら、伸子が目をやっている室の露台窓からは、せまい裏通りのむこう側の建物のてっぺんにある室内が見えていた。ホテルからの目をさけるために、あっちの露台では木箱をおいて日よけをかねて、青いつる草を窓の軒まで這い上らせてあった。その窓奥で、女の姿がちらついている。花模様の部屋着のままで、掃除でもしているかと思うとそうでもないらしく、こっちの室の内から見ている伸子の視野のうちに暫く見えなくなったり思いがけず近いところに半身をあらわしたりして、音もなく動いている。
見られていることに心づかないで動いている人の動作には、パリという大都会のなかにある孤独のようなものが感じられる。
伸子は立ち上って、部屋の一隅についている粗末な洗面台で手を洗いはじめた。ペレールへ帰ろうと思って。――
ノックの音がする。伸子は、それをとなりのドアだろうと思った。