Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
秋の公園の日だまりのなかで、伸子はそんなことについて、考えてはいてもちっとも心を煩わされていなかった。伸子は、いまというひとときのもっている条件のすべてをひっくるめて、楽にくつろいだ会話や戸外の空気の快よさを感じているだけだった。
そろそろまた歩きはじめようとして蜂谷良作はベンチの上から帽子をとりあげた。
「いずれにしても、佐々さんは生活的だなあ。この間の晩、はじめてゆっくり話してみて、僕が一番感じたのはそこだった。――吉見君は、あれで、よっぽどちがうでしょう? あなたとは――」
伸子は、蜂谷との間で、そこにいない素子をそういう風に話すのはこのまなかった。
「あのひとは、わたしよりずっとものを知っています、あれだけ、ロシア語がちゃんとしているんだもの」
素子がよくものを知っていながら、その知っているところまで自分の生活そのものを追い立ててゆかないことも、いま蜂谷に説明する必要はない素子の一つの特徴だった。
伸子と蜂谷良作とは、公園の奥にある池のところから小道づたいに、来た方とは反対の道を出口に向った。
「こんどこそ、わたし、本気でパリを歩いてみなくちゃ」