Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
それぞれ用事にかまけて働いている泰造や伸子が、しんみりと多計代の話し相手になっていられないことも、冷淡な雰囲気として多計代をいらだたせ、そういう気分はみんな一つ流れとなって伸子にそそぎかけられるのだった。
出発の数時間前、蜂谷良作と、哲学の勉強をしている野沢義二とがペレールへ来て、最後のばたばたに泰造をたすけた。北停車場の広いプラットフォームで、見送りに来ている人々の一人一人に万遍なく挨拶をし、握手している泰造の帽子をぬいだひろい額から気づかわしげな緊張の表情が去らなかった。
多計代とつや子とは車窓の前に立って、光線の足りないガラスの内部から、プラットフォームを見ている。伸子は、父が、こんどの家族同伴の旅で疲れたのをはっきり感じた。多計代もやつれている。けれども、やつれて自身の病弱を主張し、気がむずかしくなっている妻をつれている泰造には、別な深い疲労のあることが感じられ、それは伸子にぼんやりした不吉感を与えるのだった。疲れにうちかってよそめには快活にさえ見える父の素振りに目を凝らしていた伸子は、泰造が自分の前へ来て、
「じゃ、気をつけるんですよ」
と握手したとき、喉の奥から急にかたまりがこみあげて来て、やっと、