Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「すてきなものよ。きっとあなたは持っていらっしゃらないものだと思う」
「――わからない」
蜂谷は、太い指さきで、小さくて白くて全く薄べったい長方形のつつみを大事にひろげて行った。
「ホウ!」
「きれいでしょう?」
伸子は、思いがけないもので蜂谷良作をおどろかした愉快さと、ほんとにそれは美しいと思っているこころの満足から、無邪気に笑った。
「もっていないでしょう?」
「もっていない」
それは、ソヴェト同盟の三〇カペイキの郵便切手だった。さっぱりした長方形の水色地に、アジアとヨーロッパの地図が白く出ていて、そこに地球の六分の一を占めるソヴェト同盟の全領域が、いきいきと目にとびついて来るように鮮やかな赤で刷り出されているものだった。
「こういうものまで持って旅行しているのかな」
「これはほんとに気に入っているの。だからペン箱に入れてもっているんです」
小さい美しい一枚の切手を見ている蜂谷の顔は大きく見え、それをのせている手のひらも大きく見えた。
「ちょっとみてもきれいでしょう? よく見るともっといいのよ。こまかいところまで、ほんとの地図よ」
「なるほど、こんなところの、でこぼこも、ちゃんと出ている」