Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
ヴェルダンの駅へおりて、伸子はあまり深いあたりの静けさと、その静けさにつつまれて輝いているステーションの建物の白さにおどろいた。どこからどこまで真白いステーション。それは目に馴れない宗教的な清潔さだった。ほんのちらり、ほらり駅前広場へ散ってゆく人々にまじって、伸子と蜂谷良作とは、国際学生会館からの人たちと落ち合う約束になっているホテルへ行った。小規模なそのホテルの食堂も、白と金とレースカーテンのほのかなクリーム色に飾られて、喪服の年とった婦人がひとり、むこうのはじの小食卓についている。すらりとしたその黒い姿も、クリーム色のレースのひだに柔らげられて、あたりは寂しい昼間の明るさにみちている。伸子は思わず小声で、
「しずかねえ」
と云った。
「何て、どこにも音がしないんでしょう」
注文をききにきた給仕に、
「町はどっちの方角にあるのかね」
蜂谷良作が訊いた。
「ムシュウ」
給仕は、ナプキンを下げている左腕を心臓のところへあてて重々しく答えた。
「われわれのヴェルダンは、市そのものが記念塔です。ヴェルダンは、沈黙の都です。ここで暮している住民はごく少ししかいません」