Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、蜂谷は、がんこに伸子が一人でヴェルダンにのころうとするのをさえぎった。

「僕には、佐々さんをひとりここへおいて帰るなんて、出来ないことなんだ」

もうあと十分でパリへ帰る列車が出るというとき、

「さ」

蜂谷が伸子のハンド・バッグをとりあげてわたした。

「出かけましょう」

旅行用のいくらか大型のそのハンド・バッグには、マース河岸の土産屋で伸子がベルネの細君のために買った銀の記念スプーンがはいっているのだった。

朝来たと同じ道を、パリへ向って進んでゆくのだけれども、沿線の風景が濃い闇に包まれている夜ふけの汽車は、いかにもカタリコトリと寂しかった。一つの箱に乗客もまばらで、伸子たちのいる仕切りは、伸子と蜂谷きりだった。坐席にかけている人の背たけ越しにベンチの背板がずっと高くつけられているから、外の景色を見ることの出来ない夜汽車で伸子の視野は古びた茶色の板仕切りにはばまれて何となし家畜運搬車にはいっているような感じがするのだった。

「あら、この汽車! ランプよ」

車内がひどくうす暗く思えたわけがわかった。丁度伸子たちがかけている後の羽目の高いところにガラスのおおいのついたランプがおかれている。