Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
ルケアーノフのところでは食堂の両開きのドアも台所のドアもしまっていて、食堂の隣りの素子の部屋があいている。何の予想もなしにその入口に立って室内をぐるりと見た伸子は、
「あら」
信じかねるように、一つの窓の下へ目をとめた。
「わたしの場所?」
外套を着たまま、大股に右手の窓べりによって行った。広場に面した二つの窓の、左側が素子の勉強場になっていた。デスクの上に、ウラル石の灰皿やよみかけの本、新聞がちらばっている。もう一つの窓との間を仕切って、八分どおり詰った本棚が立てられていて、そのかげに、もう一くみデスクと椅子がおかれているのだった。
デスクの上には何もなく、がらんとしている。しかし、緑色の平ったい円形のシェードのついたスタンドが、いつからでもつかえるようにして置いてある。
「――すごいわねえ、わたしの場所があるなんて……」
「――ぶこが、ひっかかっていつまでも帰らないもんだから、一ヵ月無駄に払っちまったじゃないか」
とがめる云いかたのなかに、伸子がもうそこに帰って来ているという安心がひびいた。
「なにを、ぐずついていたのさ」
「なにって――」
直接素子のその質問には答えないで外套を壁にかけている伸子。