Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「見なれない鞄があるじゃないか」

ふりかえった伸子に、茶色の中型鞄を目でさした。それは伸子が荷物をしまいきれなくなって蜂谷良作からかりて来た鞄だった。

「ぶこのもんじゃない」

伸子は、素子の神経におどろいた。

「蜂谷さんにかりて来たのよ、入れるものがなくなっちゃって」

「――かえさなけりゃならないのか?」

「そんな必要ないでしょう」

かりた鞄をどうするかというようなことについて、蜂谷も伸子も考えていなかった。もし、かえさなければならないことになっていたとすれば、それはどういう意味をもつものとして素子にうつるのだろう。パリでの生活については自分を素子の前に卑屈にしまいときめて、伸子は帰って来ているのだった。

だまって伸子は荷物整理をつづけた。しばらくして素子が気をかえたように、半ば自分を説得するように、

「まあいいだろうさ!」

と云った。

「蜂谷君も、せめて鞄ぐらいサーヴィスしたっていいところだろう」

鞄ぐらい、と目の前にある物についていうのがおかしくて、伸子は笑い出した。

「どうして鞄ぐらいなの?」

「だって――そうじゃないか」

素子は、すーっと瞳孔を細めた視線を伸子の顔に据えた。