Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「わたしたちは、一つ室がほしいんです、七四番のような室でもいいし、七〇番のように小さい室でもいいんです」

葡萄色のルバーシカの男は、新しい注意でデスクの向う側に立っている伸子を見あげた。伸子が、これまでもこのホテルに泊っていたことのある者だという意味が通じた。

「部屋はいついるんですか」

「早いほど結構です」

伸子は、事情を説明した。

「とにかく、きょうは満員です。あした来て見て下さい」

「何時ごろ来ましょうか」

「いまごろでいいです」

伸子は、まっすぐアストージェンカの下宿へ帰って来た。ベルにこたえて入口のドアをあけたのはルケアーノフの細君だった。伸子を見て、ほほえんだ細君のまじめな碧い瞳にかすかな不安がある。伸子たちが果してどこかに部屋を見つけられるだろうか――期限に部屋をあけられるだろうか。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の住宅難は決して緩和されていないのだった。

素子も、やっぱり落付けずにいて部屋へ入って来た。伸子を見ると、すぐ、

「どうだった」

ときいた。

「いっぱい!」

「いっぱい?――あすこで、そんなことがあるのかな」

だまって外套をぬいでいる伸子に、