Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
うっとりするほど壮大で美しい、そしてほこりたかい五ヵ年計画を完成するために、努力の日々の中でソヴェトの人々はどんなに各自の生活を重点的に整理しているか。その現実を伸子が身に添えて理解するのは、パッサージで買えない日のあるようになったバターの問題であり、ノーソフの意気銷沈の意味であり、台所と食堂のその廊下に据えられた一台のテーブルとそこへ来た婦人――その人のいる間、なぜホテルの階下は陰気になっていたか。それから代った青年になって、カーチャの笑声をきくことができるようになったのは、何故かの問題だった。
伸子のささやかな存在は、生活そのもので五ヵ年計画のすべての壮大さと、同時に、うけとらずにいられない日常的なこまかい現象の一つ一つを味わいかみしめて感じとっているのだった。
ある晩、芝居から帰って来て、伸子はのどが乾いてたまらなくなった。外套をぬいだばかりで、伸子が、
「お湯をとって来る」
空色ヤカンをとりあげた。
「もう、しめてるだろう」
「ともかく、行ってみるわ」
十二時すぎた裏階段を、伸子は階下まで駆けおりた。そして、大いそぎで台所への廊下をゆくと、従業員休憩室はとうに暗いが、いいあんばいにつき当りの台所のドアはまだあいていた。