Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「それは、平民新聞を出す前のことだ、黒岩が万朝報で非戦論をとなえたのは。半年ばかりで、へこたれて、青年会館で演説会をやる頃には、すっかり豹変しちまった」
「内村鑑三は? あのひとは、もったんでしょう?」
「これは、大戦でだめになった」
どう駄目になったのだろう。伸子が質問のくちを開こうとしたとき、山上元の室のドアがノックされた。そのノックは、ノックしているのが日本人だと直感されるようなノックのしかただった。音と音との間にリズムのない、つづけて叩くという感じのノックだった。伸子は、もしここへ出入する日本人の誰かが入って来たらば、と当惑気味になった。
「わたし帰りますから」
と云った。
「いや」
ドアのところまで出て行った山上元は、そのままテーブルへ戻って来た。
「もう十五分ばかりいてもかまわない」
週刊で出されていた日本平民新聞は、一年つづいて、一九〇五年一月に廃刊されていた。最終号は赤刷りで出されているのだった。
伸子は、はじめ考えていたよりもずっと長い時間この室にとどまっていたことを、心ないことだったと思った。
「どうもありがとうございました。めずらしいものが拝見できて――」