Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
「あら、これは何かしら、めずらしいこと」
お茶のコップの次に運び出されたのは、桜んぼぐらいの大きさで、リンゴのような皮の果物のジャムだった。
「リンゴの一種だね」
山上は、そう云ったきり、ロシア流にひとさし指と中指との間にサジをはさみこんで、コップの茶をのんだ。
伸子が、丁寧にジャムをたべてしまうと、山上は、しばらく、伸子の前のガラス小皿の上にのこった幾粒かの果物の種を見ていたが、いきなり、
「どうだね、君は、こっちへのこる気はないの」
と云った。
――伸子は、顔をあげて山上の眼を見た。
「モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ?」
「ああ」
自分がかけている椅子ごと、部屋じゅうがぐるりと一つまわったような感じだった。
「のこるって――」
「日本へ帰らないで、こっちにずっといてしまうのさ。こっちで仕事をするんだ」
伸子は、山上のいうことが、どうかしてひどくわかりにくかった――言葉そのものではなく、そういう考えかたそのものが――
「仕事って何ができるのかしら」
政治的な活動をする女になるということを、考えたことがなかった。だけれども、伸子が日本人で、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へのこり、日本へ帰らなくなるとすれば、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)でその立場は、政治的である以外にありようないわけ