Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

どのタクシーも、その車がタクシーだということの証拠として重苦しい濃い葡萄酒色に塗られている。これは賢い方法だった。こんなに自動車のどっさりはしっているパリの街で、すべてのタクシーがすぐ見わけのつく一色に塗られているということは、自家用をもっているものの満足をそれと気づかせずにくすぐることであったし、同時に、昼も夜も大並木道をぞろぞろ歩いているアメリカ人たちに、「パリでの」自家用車を買わせるきっかけをつくっている。行き交う自動車の流れをよけて、伸子たちが歩いている歩道とすれすれのプラタナスの下を、一台の自転車が動いていた。その自転車の横には短い脚立がしっかりとくくりつけてある。ハンドルのところから、いくつもペンキ壺がぶら下っている。労働用のベレーをかぶって、ブルーズを着た三十がらみの男は、歩道にくっついて鼻唄まじりにゆっくりペダルをふんでいたが、ちらりと伸子たちの日本語を小耳にはさんで顔をこっちへふり向けた。その顔の上に並木ごしの日光がおどる。

歩きながら、伸子の視線は折々、つれの若い画家の腕にだかれている子供にひかれた。昼飯どきの六月の歩道にあふれる人波の間で、マズレールが彼の白と黒との版画の中で、鋭く刺すようにきり出して見せている黒い山高帽の連中の、ずんぐりした黒服の肩と、強情で貪慾に重い眼ざしの林の