Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
氷で痛む歯の上を冷やすということを思いついて、伸子はやっと救われた。
「氷なんて――どこで売ってるかわかりゃしないじゃないか」
「大丈夫よ、下のレストランにきっとある。まさか冷蔵庫はつかっているもの」
伸子は、日用英仏会話の頁をくった。そして三色菫の薬屋で氷嚢を買い、それからホテルの下のレストランで氷を二フランだけわけて貰った。はじめ氷のつめたささえ感じなかった素子は、やがて、氷嚢の下にハンカチーフを二つ折りにして敷かせた。そのころから、素子にねむけがさして来た。
伸子は露台と部屋との境のところにクッションをしいて坐っている。そのすぐわきから部屋の壁がはじまっていた。その壁は流行のマチスばりの配合で、藍色地に黄色で大まかな模様をおいた壁紙で貼られている。床には灰色のカーペットがしかれている。調度は、衣裳棚、化粧台、二つの寝台という単純さなのだが、パリへ来て伸子は、このホテルの室もそうなのだが、寝台に占められている空間の大さにおどろいた。いまは素子がその一つに臥て、うとうとしている大きい寝台は、二つ並んでその部屋の三分の二以上の場所をしめていた。歩くすき間だけをのこして、衣裳棚と化粧台が置かれているから、伸子が素子のとなりの寝台の上にころがるか、さもなければ鏡のついている化粧台に向って腰かけているかしたくなけれ