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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

そんなとき、伸子は熱心に、たった一人の相手として、素子に、あれやこれやの野暮な疑問を溢らせるのだった。伸子とすれば素子だけが一番自然に話せる相手だった。少くとも素子は、伸子と同じモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の一年半のなかから来ていることだけは確実だったから。

氷を当てて、素子はいい心持そうに熟睡していた。そっとしてバルコンのところに坐っていた伸子は、上体をひねって、眠っている素子を見た。素子は、おたふく風をひいた患者のように、頭の上に白い布の結びめを立てて、こっち向きに眠っている。熟睡している素子の顔つきはあどけなかった。軽く顎をだすようにして、氷嚢をくくりつけている白い布と純白のシーツの間から痛みがやわらいでほんのり赤みのさして来た目鼻だちをのぞかせて眠っている。それは、かたい眠り、と云われている深い眠りかただった。そんなにして眠っている素子をしげしげと眺めることは伸子に珍しかった。清潔に、無心に眠っているものを見ているときのやさしさで、伸子は何となしほほ笑んだ。

そのほほ笑みは、しかし、段々本式の笑いにこみあげて来て、伸子は体をバルコンへ向け直しながら声をしのんで大笑いした。