Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
――無理もないわねえ。ソヴェトのゆたかさ、たっぷりさ。それと同じくらいきびしい欠乏。毎日、そのコントラストだから」
伸子は、桜んぼうの種を手のひらにほきだしながら、笑って、
「ああ、わたし、あの女のひとが、いまフランスが先棒の反ソ十字軍に加っていないことを希望するわ」
と云った。
「わたしたち、あのひとは、どこでしたっけ、あの乗換駅。――あすこでわかれちゃったでしょう。もし、あのひとがあとでムロンを買ってたべようとして、ただの西瓜だったとわかって、ひどくがっかりでもしようものなら、危険だわ。ロシアもこれだから幻滅だなんて思うかもしれなくてよ。共産主義の国は、なんて、天気のわるいことも西瓜のことも、何からでも悪口を云うんだもの」
伸子は好奇心をおこして、字引をひきはじめた。
「ムロンはムロンだろう?」
「そうかしら。でも西瓜は水がつくもの」
西瓜という字からひいたら、そこには水の瓜あるいはパステクと植物の学名のような字があった。
六
マロニエの若葉に明るく光って降っていた午後のとおり雨は、日暮れに近くなってからあがった。
「いい気持の夕方になったねえ」
バルコンに立って、素子は西空を眺めながら爽やかな空気を吸いこんだ。