Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
その晩、秋山の室でおちあったグットネルは、伸子たちをみると、まるでその用事で来たように、二人をヴェラ・ケンペルの家へ誘った。
黄色と純白の毛皮をはぎ合わせた派手なきれいな毛皮外套をきたままの若々しいグットネルにタバコの火をやりながら、素子はうす笑いして、
「突然私たちが行ったって、芝居へ行っているかもしれないじゃありませんか」
と云った。
「ケンペルは、こんや家にいるんです。僕は知っています」
寒いところをいそいで歩いて来た顔のうすくて滑かな皮膚をすがすがしく赤らませ、グットネルは若い鹿のような眼つきで素子を見ながら、
「行きましょう」
と云い、更に伸子をみて、
「ね、行きましょう(ヌ・パイディヨム)」
すこし体をふるようにして云った。
素子は、じらすように、
「あなたと私たちがここで今夜会ったのは、偶然じゃありませんか」
「ちがいます」
それだけ日本語で云ってグットネルは伸子たちを、部屋へ訪ねて誘うために来たのだと云った。
「偶然なら、なお私たちはそれをたのしくするべきです、そうでしょう?」
到頭三人で、ヴェラ・ケンペルの住居を訪ねることになった。大通りから伸子によくわからない角をいくつも曲って、入口が見えないほど暗い一つの建物を入った。