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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)河岸の門へ流れて出てゆく。

そっちの方角を埋める人波と、人波の上にゆれるプラカートの林立を眺めていて、伸子は、いつも特別な思いで眺める首の座が見えないのに気がついた。赤い広場のその方角に、いつも灰色の大きい石の空井戸のような円形の姿をみせて、そこでツァーが首斬った人民の歴史を語っている首の座は、メーデイの人波とプラカートの波の下にかくれてしまっている。そのまわりに来たとき、人々は列をくねらしてよけて通って行っているのだろうけれども、伸子のところからは、そのうねりさえ認められなかった。首の座はメーデイの行進の波にのまれてしまっている。

伸子の心には閃くように、三月十五日の記事にかけられていた赤インキのかぎの形が浮んだ。それはいま、一つの象徴として伸子の心に浮んだ。実際よりもはるかに巨大な形をもって。父の泰造が伸子に送る新聞につけてよこした赤インクのかぎはいまその形をひきのばされ、首の座を埋めて動いている数万の人々の上に幻のように立つようだった。しかし、そんな不吉の赤インクのかぎを見るのは伸子一人にちがいなかった。