Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
五月の夜、若葉の香の濃い並木道のアーク燈の下をぞろぞろ散歩しているモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の人々にまじって歩きながら、伸子はこの群集の流れの中で、あの赤インクのかぎを負っているのは自分だけだと思うと変な気がした。わきに並んで、時々腕をくみ合わせたりして歩いている素子にさえ、伸子のその奇妙な感じはわかっていない。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の生活は、伸子を、日本にいたときはあることさえわからなかった広い複雑な社会現象のなかへつき出した。伸子はそれだけ自由にのびやかになった。そしたら、これまで気づかずにいたいろんな意味での赤インクのかぎが、自分にかかっていて、周囲に動いているモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の人たちにはかかっていないことを、見出しているのだった。
こういう心の状態で夜の並木道を散歩しているときなどに、伸子がもうちょっとで素子に話しそうになっては、話さなかった一つの気もちがあった。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ来る年の秋、駒沢の奥の家に素子と住んでいたころ、素子が買って来て伸子も読んだブハーリンの厚い本の中に書いてあったことにつながっていた。