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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

ネ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の上流に架かっている長い橋の上を、灯のついた電車が小さくのろく動いてゆく。日頃は、特別な意識をもたずにすぎてゆく伸子と素子との生活だが、伸子が何か男の影をうけたと素子が思うこういう瞬間に、素子は思いもかけない角度でぐらんと感情の平衡を失わせた。そして、その上に強もてに全身で居直った。軟かい素子の女の体が、異常な激情に力をこめて居直るのを見ると、伸子は悲しさといとわしさで、自分たち女二人の生活にかくされている普通でないものを考えずにいられなくなった。こういう場合伸子はいつも、より普通でないものを素子の側に感じながら、

少女期を出たばかりにずっと年上の佃と結婚して、心がそこに安らわず、断続して遂に破壊された五年の結婚生活の経験で、伸子は女として、性的な意味でほんとに開花していなかった。伸子は、ほんとの意味では女にも妻にもなりきらないまま、素子と暮すようになったのだった。けれども、伸子は自分の女としてのその微妙な状態について、何と比較するよしもなく、従って知りようもなかった。本質ははげしいけれど今は半ば眠っている伸子の官能のなかで、まだその全能力を発揮させられずにいる強い愛の能力の範囲で、伸子は素子にひかれ、暮しているのだった。