Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

「わたくしは、全く誇張されない一つのエピソードをお話しすることができます」

パーヴェル・パヴロヴィッチが、それだけのまとまった会話をはじめたということさえ、パンシオン・ソモロフの食堂では珍しいことだった。パンシオンの実際上の主人である大柄な老婦人と大柄でつやのぬけたようなその息子とは、いつも裏の部屋にだけ暮していて、パンシオンの客たちと食卓につくのは、古軍服をきた、中風症のパーヴェル・パヴロヴィッチだった。彼はテーブルで主人の席についているものの、ちっとも主人らしいところがなく、どっちかといえばその席に出されている主婦のかかりうどという感じだった。パーヴェル・パヴロヴィッチは、枯れた玉蜀黍の毛たばのような大きな髭を、二つめの胸ボタンのところからひろげてかけているナプキンで入念に拭いた。

「わたくしは、御承知のとおり軍隊につとめていまして――砲兵中佐でした。一七年には西部国境近くの小さな町に駐屯していました。われわれのところではペテルブルグでどんなことが起っているのか全然知っていませんでした。ところが、或る晩、二時頃でした。急にわれわれの粗末な営所へ武装した兵士の一隊がやって来ました。