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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

伸子たちにしても、ソコーリスキーの破局的な不安にとらえられている家庭の雰囲気中にいるよりは、どんな窮屈でも、さっぱりしたルケアーノフの室がましだった。伸子たちが、苦心して荷物を片づけているのをドアのところに立って見ているルケアーノフの細君の素朴な鳶色の目に、真面目な親切と当惑があらわれた。

「この室は、わたしの娘がつかっている部屋でしたのを、ソコーリスキーが、たってと云われるので、お二人のためにあけたんですけれど――二人が暮せる部屋ではありません」

一層困惑したように、ルケアーノフの細君は、手縫いの、ロシア風にゆるく円く胸もとをくったうすクリーム色のブラウスのなかで頸筋をあからめた。

「わたしどものところでは、あなたがたのために正餐をおひきうけできるかどうかもきまっていないんです」

伸子も素子もそれぞれに働きながら、困ったと思った。素子が、

「ソコーリスキーがおねがいしませんでしたか」

ときいた。

「あのひとは、そのことをあなたにお話ししなければならなかったわけです」

「ソコーリスキーは話しました。けれども、わたしの夫がいま出張中なのです。この部屋をおかししたことさえ、彼は知らないんです」