Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
気持のぴったりしない肉親の間に感じる愛着といとわしさの複雑に絡りあった感情のなかで、伸子はつまみあげている一対の紫水晶の耳飾りを贅沢なふりこのように振った。ダイアモンドの露が、もっと巧妙な細工で、そこだけ揺れるように作られていたら、どんなに優美だろうと伸子は思った。そして、その露のひとしずくが、つよい閃きを放ついいダイアモンドだったら。――でも、そうなれば、この耳飾は既に貴族のもので、素子が買いもしなかっただろうし、第一伸子はもらえばなお更こまって返しもしかねないものになる。
病室のドアのところへ誰かが来たように思って伸子は、いそいで紫水晶の耳飾りを手のひらの中に握った。伸子は、ナターシャに、こういうものを見られたくなかった。ナターシャが彼女の大きい少し動物的で勝気そうなあの眼でじろりと見て、肩をそびやかす気持が伸子にありあり映った。ナターシャにとって、それは軽蔑すべきものであり、彼女の階級の歴史が憎悪とともにそれをむしりすてたものなのだ。それをひろって、埃りを吹いて、掘り出しものだと珍重する外国人を見たとしたら、伸子がナターシャだったとしても、さあさあ、そんなものでいいならいくらでもおもちなさい、と思うだろう。