Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
伸子は、枕もとのテーブルから紙をとってその耳飾りをつつんだ。そして、ベラ・ドンナの粉薬が入っているボールの薬箱へしまった。
しばらくして、ほんとにナターシャが病室へ入って来た。ちぢれた髪と、濃いはたん杏色の頬と、踵へ重みをかけた重い歩きつきとで。洗いたての真白い看護服と前かけをつけて、ナターシャの丸い姿はひとしお新鮮だった。伸子は、もうナターシャのおなかの大きさにすっかりなれているばかりでなく、おなかの大きい彼女を愛してさえいるのだった。
「ナターシャ、きょうはあなたのちびさんの御機嫌いかが?」
「オイ! とても体操しているんです」
その日は、伸子のひまな日だった。マグネシュームと下剤をのまなくてよかったし、ゾンデもない日だった。
白い病室の壁にまぶしいくらい雪明りがさしている。伸子は、ぼんやりその明るさを見ながら一つの黒い皮ばりの安楽椅子と、白フランネルで縫われた小さい袋とを思い出した。昔、伸子がニューヨークでスペイン風邪にかかったとき入院していたのは、セント・ルーク病院の小さい病室で、黒い皮ばりの大きな安楽椅子が窓と衣裳箪笥の間におかれていた。それは看護婦用のものだった。