Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

婚約指環と云っても、そこには、どこかに勤めて一定の月給をとっている男と看護婦であるミス・ジョーンズとのつましい生活設計が感じられる。ふと読んだ「頸飾」の物語から、何とはなし自分たちの婚約指環を出して見る心持になったミス・ジョーンズに伸子は同感できるのだった。

その夜、七時になると、ミス・ジョーンズはいつものとおり伸子の髪をとかして二本の編下げにし、体じゅうを湯で拭いてアルコールをぬり、タルカム・パウダーをつけて、彼女の一日の勤務を終った。最後にスティームを調節して病室を出て行こうとするミス・ジョーンズに、伸子は、

「ミス・ジョーンズ、あなた、これからまだ手を洗わなければならないの?」

ときいた。

「いいえ。もうすっかりすみましたよ」

「じゃあ、あの指環をおはめなさいよ。わたしは、あなたがあれをはめて帰るところが見たいのよ」

ミス・ジョーンズは思いがけない注文をうけたように、ちょっとの間伸子を見て黙って考えていたが何か思いついたように、

「じき戻って来ますから」

ドアをしめて出て行った。ほんとにじき廊下に足早な女の靴音がきこえ、ノックと同時にドアが開いた。着物を着かえて来たミス・ジョーンズだった。