Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme

Aozora Bunko

のび上っている伸子は思わず片方の手袋をはめている手をこぶしに握りしめた。メーデーの日だのに、メーデーの歌もうたわず、ほんの少数でかたまって広場に向ってつめよせて来る赤旗の下の人々の心もちはどんなだろう。突然、先頭に進んでいた赤旗が高く揺れたと思うと、行進は駈足にうつったらしく、それと一緒に急調子のインターナショナルがわきおこった。はげしい調子のインターナショナルの歌声の上に赤旗が広場の間近まで来たとき、カーキ色の連中を最前列にして伸子たちの前方をふさいでいた群衆の垣がくずれ立った。インターナショナルがとぎれた。入りまじっておしつけられた怒号が、伸子に見えない前方からおこった。もみ合いがはじまった。十本足らずの赤旗は高く低くごたごたと怒声の上にゆれていたが、そのうち赤旗を奪おうとしたものがあるらしくて、急に殺気だって圧力をました人なだれが伸子の立っているところまでおしかえして来た。行進はカーキ色連中が棒と棒とでこしらえたバリケードを破って、なお前進しようとしているのだった。人なだれは渦のように広場へひろがって、伸子と素子とははぐれまいとして手をつなぎあったまま小さな日本の女の体をぐいぐいおしたくられ、到頭行進のもみ合っている町口からずっとひっこんだカフェーよりまでつめられてしまった。