Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
そのときパン。パン。と高くあたりに響きながら間をおいて二つ、ピストルかと思う音がした。
「なかへ入っちまいましょう、よ!」
伸子と素子とは、むしろよろけこんだという姿勢でカフェーの表ドアをおして入った。そして、そこだけに空席のあったカフェーの大きなショウ・ウィンドウ前のテーブルについた。広場の混乱はショウ・ウィンドウ越しのついそこにあった。それどころか、今にもひろいショウ・ウィンドウのガラスがわられるかと思うほど群集の肩や背中がおしつけられて来る。
そういう戸外の光景をガラス一枚へだてて見ているカフェー内部のおちつきは、まったく対照的なものとして伸子に感じられた。そこにいて外を見ているのは伸子と素子ばかりではなかった。しっかりした体格の背広姿に無帽の男が三四人、それぞれ自分の前のテーブルの上にコーヒー茶碗をおいてかけている。或るものは、外が騒がしくなったから読むのをやめたという風に、ひろげたままの新聞を膝の上へのせて戸外を見ている。一人の男は、椅子の上で体をずらし、ひろげた両股の間へカフェーの小テーブルをはさみこむ行儀のわるい恰好で、ズボンのポケットへ両手をつっこんだまま上眼づかいにショウ・ウィンドウの外でこねかえしている人波を視ている。